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認知科学と宗教研究5

 これまで、霊長類研究からチンパンジーの事例を取り上げてきたが、チンパンジーとくれば、特に京都大学的には、当然、ゴリラだろうか。とうわけで、今回は、次の文献。宗教研究との関連でも、興味深い議論が展開されている。

山極寿一
『「サル化」する人間社会』
集英社インターナショナル、2014年。

はじめに
第一章 なぜゴリラを研究するんか
第二章 ゴリラの魅力
第三章 ゴリラと同性愛
第四章 家族の起源を探る
第五章 なぜゴリラは歌うのか
第六章 言語以前のコミュニケーションと社会性の進化
第八章 「サル化」する人間社会

 第六章には、「言語の創生と社会脳の発達」「脳の発達は集団規模に比例する」という項目が含まれており、ゴリラ研究においても、脳科学・認知科学との接点が意識されていることが分かる。そして、何よりも、家族、歌う、言葉は、宗教研究の中心テーマであり、人間にとってこれらがいかなるものであるかについては、霊長類研究から大きな示唆が期待できるだろう。

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認知科学と宗教研究4

 前回は、齋藤亜紀の研究を紹介したが、となれば、その先生にもあたる、日本の霊長類研究を代表する人物の研究も挙げる必要があるだろう。

松沢哲郎
『分かちあう心の進化』
岩波書店、2018年。

はじめに

 1 心の進化を探る
 2 アイ・プロジェクト
 3 アフリカに行く
 4 ボッソウの森で
 5 親と子と仲間と
 6 子どもを育てる
 7 相手の心を理解する
 8 仲間にかかわる知性
 9 文化を生み、引き継ぐ
10 言語の起源
11 芸術の誕生
12 暴力はどこからきたか
13 希望を生み出す知性

あとがき──そして月に行く
もっと知りたい人のために

 なお、2018年度の日本宗教学会の第77回学術大会は、9月7日から9日まで、京都の大谷大学で開催されますが、初日の午後の公開シンポジウム「ヒトと宗教」における松沢さんは、講演者の一人として、講演することになっている。

認知科学と宗教研究3

 認知科学は、多くの隣接した研究分野に関わっているが、その一つとして、霊長類学を挙げることができるだろう。ヒトとさまざまな霊長類(チンパンジー、ゴリラ、オランウータン・・・)との比較研究──たとえば、子どもについて──は、ヒトの理解にとって、特に認知科学・心に関して、多くの示唆を与えてくれる。たとえば、次の芸術認知科学の議論はおもいしろい。

齋藤亜矢
『ヒトはなぜ絵を描くのか──芸術認知科学への招待』
岩波書店、2014年。

プロローグ 洞窟壁画を訪れる

1 描く心の起源を探る旅の出発点
2 ヒトの子どもとチンパンジー
3 「ない」ものをイメージする力
4 なぜ描くのか
5 想像する芸術

エピローグ 芸術と科学の間で

謝辞
参考文献

 なお、齋藤さんは、現在、『図書』 (岩波書店)にも、「ルビンのツボ」とのタイトルで連載中。8月号は、「仮想と現実」

認知科学と宗教研究2

 前回は、認知科学と宗教研究というテーマに関する日本における代表的な研究として、井上順考の論文を取り上げた。井上は、その後も、同テーマの関わる論考を著している。今回は、宗教哲学会の第9回学術大会におけるシンポジウム「脳神経科学と宗教の未来」における提題をもとにして論文化された井上の論文を取り上げたい。

宗教哲学会
『宗教哲学研究』 No.35、
昭和堂、2018年。

井上順考
「宗教研究は脳科学・認知科学の展開にどう向きあうか」(pp.28-46)

 はじめに
 1 神道研究に関係する問題
   (1)神観念
   (2)罪・穢れなどの観念
 2 新宗教研究に関する問題
   (1)教祖論
 3 脳科学・認知科学等と宗教研究
   (1)ユニバーサル・ダーウィニズム
   (2)意識と無意識
   (3)記憶
 むすび
 注

 前回の紹介の論文に比べ、宗教研究との関わりをめぐる議論がより具体的になっている。今後の議論の出発点として踏まえるべき論考である。
 なお、『宗教哲学研究』 No.35、には、井上論文のほかに、シンポジウムを論文化した次の二つの論文が掲載されている。

・芦名定道 「宗教哲学にとっての脳神経科学の意義」
・冲永宣司 「超越的次元のゆくえ──宗教経験の脳神経科学をふまえて」
   




認知科学と宗教研究1

 認知科学は、脳科学、人工知能、霊長類研究など関連づかられることによって、宗教研究にも、その意義を大きく拡大しつつある。日本において、こうした動向に注目してきた宗教研究者として、井上順考を挙げることができる。井上の研究を紹介するところから、この問題にアプローチしてみたい。まずは、より広い範囲で、認知科学の問題を位置づける、次の論考。

井上順考編
『21世紀の宗教研究──脳科学・進化生物学と宗教学の接点』
平凡社、2014年。

井上順考
「宗教研究の新しいフォーメーション」
一、誤解された進化論
二、進化論を脅威に感じる宗教とそうでない宗教
三、対象は広がり、境界線は見えなくなる
四、動物とヒトとの距離を縮める研究の広がり
五、宗教心は別なものか?
六、ミーム論と宗教文化
七、コンピュータ・テクノロジーの広範な影響
八、宗教研究のための新しいシナプス形成

マイケル・ヴァツェル
「神話の「出アフリカ」──比較神話学が探る神話のはじまり」

長谷川眞理子
「進化生物学から見た宗教的概念の心的基盤」

芦名定道
「脳神経科学と宗教研究ネットワークの行方」

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LogosOffice2

Author:LogosOffice2
本ブログでは、2016年度から(18年度まで)開始の科学研究費による研究「拡張された自然神学の具体化としての「科学技術の神学」─東アジアの文脈で─」に関連した情報を掲載してきましたが、今回、その内容を現代キリスト教思想に関わるものに変更することになり、ブログ・タイトルを「現代キリスト教思想の諸問題」に変更することにしました。しばらくは、具体的な掲載内容をめぐり方向を探りたいと思いますが、徐々に本格化させてゆきます。

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